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SSKS月刊きょうされん
TOMO

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2018-Tomo10月号PDF-page01

月刊きょうされんTOMO【2018年10月号】特集「パラレルポート~日本課題~」

[インクルーシブ雇用・就労勉強会]加藤厚労大臣に緊急提言

超党派の有志国会議員と、市民団体・関係者で「障害者にとってディーセントでインクルーシブな雇用・就労のあり方に関する共同勉強会」を立ち上げ、2016年11月より議論を重ねてきました。
きょうされんとしても、その場に加わり現場の実態等を伝えながら、就労支援政策についてのあり方をともに考えてきました。大臣に面会の様子

この度、その勉強会における中間とりまとめをもとに、加藤勝信厚生労働大臣に緊急提言を行なう運びとなりました。12月21日に加藤厚労大臣に面会し、勉強会を牽引してきた国会議員のみなさまとともに、市民団体の事務局として、きょうされんから赤松英知常務理事と松本尭久事務局員が同席し、緊急提言書をお渡ししました。

この勉強会は、2018年1月からはじまる通常国会において議連に衣替えし、ますます精力的な議論が展開されていく予定となっています。大臣に面会の様子

面会した中で、出席者からは障害者雇用や、福祉事業所での就労実態と課題が出され、加藤厚労大臣からも今後の障害者雇用・就労施策において、形式上ではなく本音のところで議論をしていただきたいという期待のメッセージをいただきました。


障害者雇用・就労施策にかかる緊急提言
~障害者にとってインクルーシブでディーセントな雇用・就労の促進に向けて~

Ⅰ.はじめに
 私ども超党派の有志国会議員は、障害者雇用や福祉的就労の現場で活動する多くの当事者団体/市民団体と連携し、「障害者にとってインクルーシブでディーセントな雇用・就労のあり方に関する共同勉強会」を2016年11月に立ち上げて、以来、月1回の定例勉強会を開催し、障害者雇用や福祉的就労を取り巻く現場のさまざまな課題を取り上げ、精力的な議論を行ってきた。
 わが国が2014年1月に批准した『障害者権利条約』の第27条(労働及び雇用)には、「締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認める。」と謳っており、その実現に向けて、働くことを希望する全ての障害者に「インクルーシブ」で「ディーセント」な雇用/就労の場を確保することが政治の責務であり、私たちの目標である。
 その観点から、1年間にわたって積み重ねてきた勉強会における課題認識を踏まえ、下記の通り、今後政府(厚生労働省)において、実行すべき具体的な施策について提言する。

Ⅱ.提言の背景
 我が国では、2014年1月に批准した「障害者権利条約」を軸に、障害者施策全般にわたる検討・整備がすすめられてきた。雇用・就労分野においても関係法制度の見直しなど様々な取組みが展開されてきているが、未だに、全体で31万人以上にものぼる福祉的就労利用者の賃金・工賃は著しく低額であり、しかもその多くは、労働者としての処遇を受け得ていない。
 一方、一般就労障害者の労働実態を見ると、雇用率制度対象企業における障害者雇用数は年々増えてはいるものの、正規以外の者(60.5%(2013年厚労省障害者雇用実態調査結果))が多く、障害のない者(正規以外の者37.5%(2016年総務省労働力調査結果))と比べて労働条件が良くないものが少なくない。結果、一般雇用においても福祉的就労においても、障害者にディーセント・ワークが保障されているとは言い難い実態にあるのが我が国の現状であり、障害者権利条約の要請に応えるためには、この状況を改善するための具体的な政策の立案と遂行が求められる。

Ⅲ.早急に実行されるべき重点施策
1.障害者雇用施策について
50人以下の事業所を含め、労働力全体との比較が可能となる障害者雇用の総合的実態調査を早期に実施し、就業率や雇用形態、勤務時間や賃金その他の労働条件など、障害者の雇用上の格差の実状を的確に把握した上で、その結果に基づき、格差の是正に向けた具体的かつ効果的な施策を策定して、着実に実施すること。

2.福祉的就労施策について
福祉的就労利用者の所得保障を進める観点から、賃金(工賃)の向上等についてさらなる具体的かつ効果的施策を講じること。また、一般雇用への移行促進等の観点から、就労支援事業所と企業との連携・協力のスキームなどの施策を検討し、具体化すること。

3.上記両施策共通の課題
上記の施策と併せ、福祉的就労施策と一般雇用施策を密接不可分のものとして一体的に立案、展開することが可能となるよう、横断的かつシームレスな政策審議システムのあり方を含む行政上の組織/運営体制を早期に整備し、必要となる法制上の措置を早急に講ずること。

Ⅳ.今後、具体的な検討を行うべき重要政策課題
 障害者にとってインクルーシブでディーセントな雇用・就労の促進のために、以下の項目についても早急に検討を行うべきである。

①障害者雇用施策について
・ 障害者就業・生活支援センターの拡充策
・ ジョブコーチの効果的な活用方法とその周知
・ 公務・公共部門における障害者雇用の拡大を図るための具体的な方策
・ 精神障害者に対する就労支援策の拡充
・ 高齢の被雇用障害者の円滑な福祉的就労への移行又は退職と、安定的な生活の維持を両立する施策
・ 職場における差別禁止と合理的配慮提供の取り組み状況の検証を踏まえた支援策の強化

②福祉的就労施策について
・ 事業所の販路市場開拓の一部として、過疎地における買い物支援等、行政ができない社会的課題への取組み
・ A型事業の認可審査や監査の仕組みの見直しに着手すること。
・ 優先調達推進法に基づく共同発注のあり方の見直し
・ 就職実績のない、もしくは極めて少ない就労移行支援事業者の実態調査の実施と制度の見直し
・ 多様な「働きづらい者」に対する就労継続支援事業の拡充・拡大

③上記両施策共通の課題
・ すべての障害者の自立的な生活の促進に向けた「所得保障制度」の創設
・ 障害者の職業能力(または職業的困難度)に基づく障害認定制度の創設
・ 障害者の相談窓口の一本化(基礎自治体単位での)と総合的な相談支援体制の整備

PDF 障害者雇用・就労施策にかかる緊急提言(厚労大臣宛)

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