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月刊きょうされんTOMO【2019年9月号】特集 障害者権利条約批准から5年~ゆたかなくらしのあり方とは?

【声明】「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の 支給等に関する法律案」の成立にあたっての声明

「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の
支給等に関する法律案」の成立にあたっての声明

きょうされん 常任理事会

■不本意な法律の水準
 本日、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律案」(以下、一時金支給法)が可決、成立しました。
 私たちは、党派を超えて法案づくりが進められてきたことを歓迎しながらも、他方で一時金支給法案が表面化して以降、三つの点で強い危機意識を持っていました。一点目は国の謝罪の仕方、二点目は法案の内容、三点目は法案審議の進め方です。結論から言えば、これらはことごとく不十分であり、私たちにとっては不本意な成立となってしまいました。被害者の多くがそう思っているのではないでしょうか。
 まず、一点目の国の謝罪ですが、立法府と行政府のそれぞれが、もしくは合同で法案の作成に先立って被害者に対する明確な謝罪宣言をすべきではなかったでしょうか。真摯な反省と謝罪の中にこそ、個々の被害者の尊厳と人権を回復するための新たな法律の土台が作られるのであり、再発防止が約束されるのです。安倍総理大臣より、法律の成立直後に「反省とお詫び」の談話が発表されましたが、法律の前文をなぞるにとどまり、またタイミングの面からも被害者の気持ちや期待とは大きくずれたものです。遅きに失した感はありますが、立法府としてもその総意で謝罪の決議を行なうべきであり、今開かれている通常国会の会期中での具体化を求めます。

■人権侵害の上塗り
 二点目の法律の内容ですが、重要事項の大半で、被害者ならびに私たちの主張は聞き入れられませんでした。このことの象徴が、補償額の水準です。被害者の多くは、金銭の問題ではないと考えているに違いありません。しかし、今となっては補償額の水準でしか謝罪の方法はありません。その水準が、法律において「一時金320万円」と明示されました。法的かつ強制的に「未来の生命」が奪われた被害者への代償がこの程度というのは、人権侵害の上塗りと言うほかありません。
 この他、被害を及ぼした責任の主体があいまいであること、違憲性に触れていないこと、補償の対象範囲が不十分なこと、補償申請の方法に公平性や確実性がないこと、被害認定に客観性が欠けること、国から独立した検証の条件が確保されていないこと等々、欠陥や問題点が余りに多すぎます。
 三点目の審議の進め方ですが、この点でも禍根を残しました。超党派議員連盟において、また与党において法律の内容が作成されましたが、公式な検討作業は密室で行なわれました。被害者や関係者の法案の決定過程への参加は許されませんでした。審議が国会の場に移されたあとも、被害者や多くの障害当事者が希望していた、「わかりやすい言葉をつかって、ていねいな審議」とはほど遠いものでした。被害者などによる参考人というかたちでの意見表明の機会も拒まれました。障害者権利条約の制定過程でくり返された「私たち抜きに私たちのことを決めないで」の観点はすっかり抜け落ちてしまいました。当事者不在の「全会一致」と言われても仕方がないのではないでしょうか。

■これからも戦い続けます
 以上、三点にわたって、被害者への対応の不十分さと一時金支給法の問題点を概観してきました。これらから見えてくるものがあります。それは、「障害者だからこのように扱われたのでは」ということです。例えば、補償水準については、ハンセン病や薬害エイズの被害者へのそれとは大きな落差があり、生殖能力を失った交通事故の最低賠償とも数倍の開きがあります。検証体制についても同様のことが言えます。多くの被害者は自らの意思を主張できません。だからこそ、立法府や行政府などの公的な機関は、より本人を守る立場に立たなければならないはずです。それが逆の対応になってしまいました。私たちは、このような差別的取扱いに対して深い失望と憤りを禁じえません。
 残念ながら、優生保護法の被害者に対する国会の対応は冷たいままで終わってしまいました。しかし、被害者の尊厳と人権を回復する運動はこれで終わったわけではありません。私たちは、社会に深く根を下ろしている優生思想や障害者差別をなくすことと合わせて、一時金支給法の抜本的な改正に向けて戦い続けます。当面は、全国7カ所の地方裁判所で進められている優生保護法被害者訴訟を全面的に支援していきます。市民のみなさんやマスコミ関係者のこれまでに増しての理解と協力を呼びかけます。

■声明のPDFはこちら

                   <連絡先:きょうされん事務局>
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