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月刊きょうされんTOMO【2020年4月号】特集 わたしたちの“活動と参加”が社会を変える!

全世代型社会保障検討会議中間報告を受けての声明

全世代型社会保障検討会議中間報告を受けての声明

2020年19
きょうされん常任理事会

 政府は20191219日、全世代型社会保障検討会議中間報告をとりまとめた。同会議は、2011年来の社会保障・税一体改革の流れを受け継ぎ、一億総活躍社会や我が事・丸ごと地域共生社会づくり等の検討を経て、社会保障の大改革を議論してきた。この中間報告は2025年問題、2040年問題と財政問題で不安を煽りながら、全世代型社会保障への改革を現内閣の最重要課題と位置づけ、「これまでの社会保障システムの改善にとどまることなく、システム自体の改革を進めていくことが不可欠」としている。
 この大改革は憲法25条を後退させ、障害のある人の生活にも大きく影響することから、きょうされんとしての声明を発表することとした。

 中間報告は、急速な少子高齢化が日本の最大の挑戦であるとして、画一的な社会システムから多様性を認め合う社会にかえることで、この課題を克服するという。しかし、そもそも少子化は自然に進行している現象ではなく、不安定雇用の増大や出産と子育てのための環境の未整備等、政策の不十分さが作り出した状況だ。そこに抜本的なメスを入れない限り克服できないのではないか。
 そして中間報告は、働き方の変化を中心に据えて、年金、医療、介護、社会保障全般を改革することを通じ、現役世代の負担上昇を抑えながら、すべての世代が安心できる社会保障制度を構築するとした。しかしその内容は、自己責任、家族の責任、地域の責任を拡大し、公的責任を縮小していくというものである。また、制度の持続可能性を確保するために、年齢ではなく負担能力に応じた負担という視点を徹底し、受益と負担のバランスをとると述べ、今後の更なる負担増を強くにじませている。
 以上のような考え方に基づいて示された中間報告の問題点を、以下に指摘しておきたい。

 1点目は、この検討の全体が社会保障予算の削減を動機としている点である。中間報告は、社会保障制度を持続可能にするために給付削減と負担増が必要だという緊縮路線を基調としている。2020年度予算案でもこれを反映して、防衛費が過去最高を更新する一方、社会保障費の自然増は1200億円圧縮された。この間の年金の抑制や消費増税などの影響で、ただでさえ障害のある人の生活は逼迫している。加えて更なる負担増が強いられれば、障害のある人と国民の生活は持続不可能となり、社会保障制度は崩壊するのではないか。
 2点目は、中間報告が社会保障の受給者と保険料等を負担する現役世代等を分断している点である。中間報告は「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直し、切れ目なくすべての世代を対象とするとともに、すべての世代が公平に支えあう」のが全世代型社会保障であると明言している。高齢者と現役世代、障害のある人とその他の国民等の間に対立と分断を持ち込み、国民の中に不寛容を喚起することで、高齢者や障害のある人に負担増を求める格好だ。
 3点目は、健康であることが財政抑制という形で社会貢献につながるとされている点である。すなわち社会保障の担い手を増やし、制度の持続可能性につなげるために、一人ひとりが健康であることが期待されている。70歳まで働けるようにするのも、本人の選択といいながら財源確保が目的だ。これでは、病気や障害のある人や働くことのできない人は、金がかかるばかりで社会のお荷物ということになりかねない。社会保障がその本来の役割を放棄することになるのではないか。
 4点目は、成果主義の更なる強化である。障害分野でも事業所への報酬等において、目に見える成果により報酬に多寡をつける成果主義が強められているが、中間報告は病気や介護の予防の成果を評価の指標として、自治体等への交付金に格差をつけること等を提案している。予防の観点は重要だが、これを成果主義に結びつけると、目に見える成果につながらない側を排除することになる。社会保障分野で成果主義に基づいて国の費用を算定することはやめるべきである。
 5点目は、公的責任の更なる後退である。中間報告では、特に介護について述べた部分で民間サービスの導入促進や介護サービスと保険外サービスの活用等の文言が登場する。これまでも営利目的の民間事業主体の無制限な参入を認めたことで、障害分野ではA型事業所の大量解雇問題等のモラルハザードが起きている。保険外サービスの拡充はこうした不適格な事業所の参入を更に広げることにつながるのではないか。社会保障における公的責任を無制限に放棄し民間に委ねる流れを止め、公の役割と責任について国民的議論をするべきではないか。

 この中間報告を踏まえ、2020年夏に最終報告が出される見込みだ。まさに社会保障制度の大改革であり、その方向性は障害のある人や国民にとって厳しいものとなっている。きょうされんとしては、障害のある人等の真の生活実態を踏まえた議論を求めて、関連する団体や個人との共同を進めていきたい。

【参照】全世代型社会保障検討会議中間報告の主な内容
○年金
 ・受給開始年齢の選択肢の上限を75歳に引き上げる
 ・短時間労働者について、厚生年金の適用範囲を50人超規模の企業に拡大する等
○労働
 ・70歳までの就業機会確保
 ・兼業・副業の拡大
 ・フリーランス等雇用によらない働き方を選択できる環境整備等
○医療
 ・75歳以上の高齢者医療について、一定所得以上の人の負担を1割から2割へ
 ・紹介状なしで大病院を外来受診する際の負担増と対象病院の拡大等
○予防・介護
 ・疾病予防を強化するため、保険者(都道府県と市町村)への交付金算定に当たっての評価の際に、予防・健康づくりの成果に応じて配点割合を高め、優れた民間サービスの導入等を促進する
 ・介護予防を強化するため、保険者や都道府県への交付金算定の際に、運動等高齢者の活性化につながる民間サービスの活用や高齢者の介護助手への参加人数等を評価する
 ・介護制度の持続可能性を確保するため、ロボットやICTの導入加速、介護サービスと保険外サービスの組合せのルールの明確化、介護事業者の創意工夫と投資を引き出す等を進める等

全世代型社会保障検討会議中間報告を受けての声明.pdf

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