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月刊きょうされんTOMO【2019年11月号】特集 アート これがわたしの表現 わたしの作品

【声明】消費税の10%への増税は障害のある人の社会参加を阻み、障害者権利条約の実現を困難にする

消費税の10%への増税は障害のある人の社会参加を阻み、
障害者権利条約の実現を困難にする

2019年9月6日
きょうされん常任理事会

消費税増税の影響と不安
 10月からの消費税増税が迫り、障害のある人の中で不安がひろがっています。きょうされんが2016年に発表した調査では、作業所などで働く障害のある人のうち相対的貧困といわれる年収122万円以下の人が81.6%、さらに年収200万円以下のワーキングプアといわれる人の割合にいたっては98.1%にのぼりました。また、今年4月に障害基礎年金が引き上げられましたが、その伸びはマクロ経済スライドというしくみのために物価の上昇分よりも低く抑えられています。このように、ただでさえ収入が少ない障害のある人にとって、消費税が2%も上がることは大きな負担となります。
 また、障害のある人が働く作業所でも負担が増えます。きょうされんが昨年実施した報酬改定の影響調査では、就労継続支援B型事業所や就労移行支援事業所の約6割で減収となりました。そこに消費税増税がのしかかるわけですから、障害のある人の働く場はますます困難な経営を余儀なくされます。とくにB型事業所では、高工賃を実現しなければ報酬が少なくなるというように成果主義が強化されましたから、障害の重い人が働く場から敬遠されるなどの影響が懸念されます。

消費税は公平な税金か
 政府は、消費税が働く世代など特定の者に負担が集中しない公平な税制だから、社会保障の財源としてふさわしいといいますが、本当にそうでしょうか。
 社会保障の重要な役割は、収入の多い人ほどたくさん払う応能負担の原則で税金を集め、これを財源として収入が低い人にも最低限の生活を保障することです。こうすることで格差が小さくなり、必要な福祉や医療、教育などが国民に届くのです。
 しかし、消費税は収入の多い人にも少ない人にも同じ負担を求めます。そうなると、例えば年収1000万円の人は一定額を貯蓄し、残りを消費に回すことができますから、年収の中の消費税の割合は比較的小さくてすむでしょう。しかし年収120万円の人は、そのほとんどを消費に回さないと生活できませんから、年収の中の消費税の割合は高くならざるを得ません。その結果、実質的には年収の少ない人ほど負担が大きくなるのです。
 さらに、消費税を社会保障の財源にするのは、障害者自立支援法違憲訴訟で問題になった利用料における応益負担と似ています。福祉など社会保障の給付を受けるのだから、その財源は収入の多い人も少ない人も定率で負担しなさいというわけで、実質的な公平とは程遠いのです。消費税は社会保障の財源として、最もふさわしくない税金だといえるでしょう。

「社会保障の財源として消費税増税が必要」は事実か
 また、消費税導入以来、日本の社会保障は財源が確保されて拡充してきたでしょうか。実際には、生活保護や医療、年金などすべての分野で削減が続いています。障害福祉においては、確かに予算は増額してきましたが、もともとの出発点が低かったために、まだ先進諸国の平均にも至っていません。
 消費税は3%から8%まで増税されてきたのに、なぜ社会保障は拡充されないのでしょうか。消費税の税収を見ると、導入された1989年度は3.3兆円だったのに対し、2016年度は17.2兆円と、大幅に増えています。一方、同じ時期の法人税は19兆円から10.3兆円へ、所得税は21.4兆円から17.6兆円へと減っているのです。つまり、大企業の法人税や、高額所得者の所得税を減らし、その分を消費税で埋めているに過ぎず、社会保障には回っていないのです。
 今回の消費税増税という「ムチ」に対して、年金の上乗せや幼児教育の無償化、そして障害分野で10月から導入される新たな処遇改善などの「アメ」も用意されていますが、これらの施策は消費税しか財源がないという一方的な宣伝の下で提案されています。消費税増税ではなく、法人税や所得税を応能負担にふさわしい税率に戻すことや、右肩上がりの防衛費を見直すことなどで、財源は確保できるのではないでしょうか。

 以上のことから、きょうされんは10月からの消費税増税に反対します。百歩ゆずって、仮に利用できる支援のメニューが増えたとしても、消費税増税分をその財源に充てるということは、障害のある人にとっては使えるお金が減るので、社会参加の機会をひかえざるを得なくなります。これでは、障害のある人が他の者との平等にもとづいて地域で生活を送ることを求める障害者権利条約の理念とは真逆ではありませんか。
 この条約の実施状況に関する日本の審査が来年夏に予定される中、わたしたちはこの動きを既定のものとして見過ごすことはできません。また、多くの報道がこうした消費税の負の影響を伝えることなく、増税を前提とした対応のあり方に集中していることにも苦言を呈したいと思います。

 

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